平成28年度美術アドバンスドセミナー 絵画技法材料学-西洋と日本の美術を技法材料で俯瞰する-
~フレスコから合成樹脂までを支持体と技法材料で辿る~



美術分野における制作経験者のレベルアップを目的に「美術アドバンスドセミナー」を開講します。
今回は絵画技法材料学について、その研究の第一線で活躍する京都造形芸術大学の青木芳昭教授をお招きし、
画材に関する高度で専門的な知識を実践形式で学びます。

開講にあたって―

表現とは如何にあるべきなのか。技法や材料、その使い方と作品のコンセプトを乖離して考えることは出来ません。近年、水墨・ネオ水墨・もの派・具体といった、過去の表現法やそこから派生した表現が注目を浴びています。いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも取り入れていくことへの顕れと考えられます。語り継がれた、使い続けられたものには理由があります。
しかし、天然顔料の枯渇や重金属顔料が毒劇物性により急激に姿を消し、石油系色料の氾濫とアクリルを中心とした水系合成樹脂絵具による多目的絵具全盛を迎えています。日本画では膠の処方や顔料焼成という自製の絵具を追求することができにくくなっています。また洋画でも樹脂の溶解やオイルの調合に情熱を注ぎ、自家製絵具を駆使して歴史に残る作品を制作してきましたが今ではとうてい望めないこととなりました。日本では、絵画用の三千本膠、京上膠と呼ばれる和膠が絶え、大きな過渡期を迎えています。当然、和膠の生産中止は固形墨の生産ができなくなることを意味します。同様に中国でも、ヨーロッパでも絵画用膠の問題が起きています。天然の各種画材が危機を迎えることは、伝統的絵画技法材料の危機でもあるわけです。本講座では、素材に関する高度で専門的な知識とその実践をこの機会に是非学び皆様の表現にフィードバックされることをここに願っています。

青木芳昭

講師 青木芳昭(京都造形芸術大学 芸術学部美術工芸学科 日本画コース教授)
対象 16歳以上
これまでに絵画の制作経験がある方(西洋画・日本画などのジャンルは不問)
定員 先着30名
会場 高知市文化プラザかるぽーと 11階大講義室
日時 2016年11月12日(土)・13日(日) ※連続2日の講座です
12日 13:30〜17:30
13日 9:00~16:00
受講料 7,500円(別途画材費2,000円)
備考 筆・タオル・紙パレット・ペインティングナイフ・ 筆洗等をお持ちください。
お申し込み方法 10月15日(土) 8:30より電話またはかるぽーと8階窓口にて受け付けます。
主催 高知市文化振興事業団
お申し込み・
お問い合わせ
高知市文化振興事業団 088-883-5071
スケジュール
11/12(土)
13:30〜17:30
1. 事前アンケート(この講座に望むもの)
2. 支持体を作る(F6パネルに綿布貼り込み)膠サイジング→石膏地(+胡粉地)
3. 膠エマルション&カゼインエマルション制作
4. フレスコ画(ブオンフレスコ)
11/13(日)
9:00~16:00
(途中、昼食休憩をはさむ)
1. フレスコ画(フレスコセッコ)
2. 卵テンペラ(卵黄→卵黄+リンシード、卵白)
3. 混合テンペラ
4. 油絵具・アクリル絵具・水性アルキド絵具
5. 膠と日本画絵具、胡粉を練る
6. 墨・硯・水
7. 自製パネルに描く(膠サイジング・石膏地・胡粉地)
8. 質疑応答、まとめ

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