平成28年度公共ホール演劇ネットワーク事業「演出家だらけの青木さん家の奥さん」高知Ver.

開催日時
2016年10月22日(土) 14:00開演
2016年10月23日(日) 14:00開演
会場
高知市文化プラザかるぽーと 小ホール
入場者数
22日:82名、23日:90名

舞台美術はビールケースのみ。照明は地明かりのみ。音響は生ギターのみ。脚本は最低限の設定のみ。そこにあるのは俳優の肉体のみ。劇のほぼ全てをアドリブで駆け抜ける、即興演劇の名作「青木さん家の奥さん」を、現代演劇界を牽引する演出家を俳優に据え暴れさせる、前代未聞の舞台「演出家だらけの青木さん家の奥さん」を上演しました。

本事業は、平成28年度公共ホール演劇ネットワーク事業として、高知市・豊中市・北九州市・上田市・魚沼市の5つの公共ホールが協力、連携して制作し、2016年10月(高知・豊中・北九州)、2018年3月(上田・魚沼)にそれぞれツアーを行い、各地の地元出演者と共に、抱腹絶倒の舞台をお届けしました。

また、各地では滞在中に演劇ワークショップも実施しました。
高知では小学校へ訪問、ツアーメンバーの田上豊氏を講師に迎え、高知の演劇人もアシスタントとして参加しました。
演劇は、会話や身振りなど、舞台上の俳優のコミュニケーションで物語が進んでいきます。そんな、演劇のもつ「人との関わり」の要素を用いたゲームや寸劇を体験し、子ども達だけでなく、先生方や高知のアシスタントも、楽しみながらコミュニケーションの面白さを感じられました。ワークショップを終えた後、子ども達はすぐに「演劇クラブ」を立ち上げたそうで、とても刺激的な良い時間を共有できたと嬉しく思います。

公演は、「酒屋の従業員たちが、憧れの青木さん家の奥さんへの配達伝票の持つ権利を主張し合うなか、新人バイトも配達に行きたいと言い始め、先輩たちにしごかれる。はたして無事配達に行けるのか」という本筋に沿って進みます。
しかし、その中で交わされる会話のほとんどは即興です。演出家達は、高知のご当地ネタや時事ネタなどを使いながら、時に皮肉交じりに、時に機知に富んだ返しをし、ただ多くは必死に言葉を捻りだしていて、お客様にも伝播するそのヒリつく緊張感と妙な安堵感のくり返しは奇妙な笑いの渦を作り、まさにこの舞台でしか味わえないものでした。

舞台上で繰り広げられる、その瞬間に本気で捻りだす言葉の数々、そうして生み出される本作品は、生きた人間が生きた人間に届ける演劇の魅力を存分に感じさせてくれました。


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